こんな症状がある方へ
以下のような症状に少しでも心当たりはありませんか?
- みぞおち付近が痛い、違和感がある
- 食欲不振
- 胸やけする
- 吐き気がする
- 長期間お腹が張っている
- 体を動かすと息が切れたり、ふらついたりなどの貧血症状がある
- 黒っぽい便が出る
- 気づかない間に体重が減った
- 全身がだるい、疲れやすい
上の症状を認める場合は胃がんの可能性があります。
胃がんは早期の段階では、全く症状がないことも珍しくありません。
ちょっとした症状でも軽視せずに、なるべく早めに消化器内科へ相談して胃カメラ検査を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
るようにしましょう。
胃がんとは
初期の段階では自覚症状は全くないことが多く、かなり進行しても症状がないこともあり、気づかない間に進行してしまうことがほとんどです。
進行すると胃の内側を覆う粘膜から徐々に外側にむかってがんが育ってゆき、他の臓器やリンパ節への転移も起こる可能性が高まりますので、注意が必要です。
がん研究振興財団の報告によれば、2021年時点で日本のがんによる死亡者数で胃がんが原因となるケースは、男性が第3位、女性が第5位となっています。
しかし、胃がんは早期に発見し、早期に治療することによって根治が可能な病気です。
胃がんを早期に見つけるために、胃がん検診の受診や、少しでも気になる症状がありましたら速やかにご相談ください。
胃がんの原因
胃がんは、ピロリ菌感染が一番の原因となります。
日本では胃がんの患者さんの9割以上の方にピロリ菌の感染を認めます。
その他、塩分のとり過ぎ、飲酒や喫煙、野菜不足などの生活習慣の乱れで発症すると言われています。
ピロリ菌感染
日本では胃がんの原因の9割以上がピロリ菌の感染であるといわれています。
ピロリ菌は胃の粘膜に寄生するらせん状の細菌です。
通常の細菌は胃に入ると胃酸によって死滅してしまいますが、ピロリ菌はウレアーゼという特殊な酵素をもっていて、アンモニアを作りだすことができます。
胃酸をアンモニアで中和することで、ピロリ菌は胃の中に棲みつくことができます。
ピロリ菌はアンモニアとサイトトキシンという毒素を作りだすことで胃粘膜にダメージを与え、慢性的な炎症をおこします。ピロリ菌感染を放っておくと、炎症が長く続くことで、胃の粘膜は傷つき萎縮します。
ピロリ菌感染によって必ず胃がんを発症する訳ではないですが、胃がんだけでなくその他の病気(慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍など)が発症するリスクが高くなります。
ピロリ菌の除菌が成功すれば胃がんの発症する可能性が低くなりますので、ご心配な方はお気軽に当院までご相談ください。
生活習慣
充分な睡眠、ストレス発散、適度な運動などが効果的です。
食事に関しましては、暴飲暴食、塩分の過剰摂取、お酒・コーヒーの過剰摂取などは避けましょう。野菜や果物を多く食べていただくなど、栄養バランスも常に意識しましょう。
胃がんの検査
胃カメラ検査
胃がんは胃の内側を覆う胃粘膜から発生します。
このため、早期の胃がんは体の外から検査するエコー検査やCT検査などでは発見できません。
しかし、胃カメラ検査では胃の内部を直接観察できるため、小さな早期の胃がんでも見つけることができます。
胃カメラ検査だけが、早期の胃癌を発見できる検査と言えます。
胃カメラ検査で胃がんが疑わしい病変が発見された時は、その場で組織を採取し病理検査を行うことで、確定診断につなげられます。
胃がんの治療
開腹手術
みぞおちからおへその横にかけて、おなかを15~30㎝程度大きく開いて手術を行います。
胃がんはリンパ節に転移しやすいため、転移の可能性があるリンパ節も腫瘍と一緒に取り除きます。
これをリンパ節郭清と呼びます。
胃がんの病期(ステージ)に応じて、リンパ節を取り除く範囲を検討します。
胃がんのある場所によって、噴門側胃切除術・幽門側胃切除術・胃全摘術といった方法を選択します。
手術した方法に最適なかたちで胃と腸をつなぎ合わせる再建術(吻合術)を実施します。
腹腔鏡手術
胃や腸、肝臓などのおなかの臓器が入っている空間を「腹腔」と呼びます。
腹腔鏡手術とは、手術による患者様へのご負担を最小限にするために生み出された方法です。
開腹手術のようにおなかを大きく切開せずに、5〜10mm程度の小さな穴を複数開けます。その穴からおなかの中を観察するスコープ(腹腔鏡)とマジックハンドのような専用の手術器具を入れて手術を行います。
最近では、器具のレベルも上がり、手術方法も定着してきたため、早期胃がんを治療するメジャーな手法として考えられるようになりました。
腹腔鏡手術のメリットとして
- 傷が小さく、目立ちにくい。手術後の痛みが少ない。
- 手術後の回復が早い。
- お腹を開腹する手術と比べて、腸が空気に触れにくいため、手術の後の癒着がおきにくい。
- 出血量が少ない傾向がある。
腹腔鏡手術のデメリットとして
- 手術時間が長くなる傾向がある。
- 出血などを認めた際の対応が、開腹手術より難しいことがある。
内視鏡的治療
胃カメラを使って、胃の内側から胃がんを剝ぎ取る治療方法になります。
胃がんは悪性レベルの低い分化型がんと、悪性レベルが高くリンパ節転移しやすい未分化型がんに大きく分けられます。
悪性レベルが低い分化型がん(低分化腺がん・印環細胞がん・粘液がんでない)で、且つ粘膜層までしか到達していないと術前の検査でわかった早期胃がんであれば、リンパ節への転移が起こっている可能性は低いため、内視鏡で切除することが可能です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)といった方法で
おなかを切らずに内視鏡を使って病変のみを取り除くことができます。
摘出した病変の病理検査を実施し、完全に切除できていない場合や、深い層までがん細胞が到達していた場合は、リンパ節へ転移している可能性があり、外科的な手術が必要となります。
化学療法(抗がん剤治療)
胃がんに対する化学療法は、数多くの臨床研究がなされています。
最も効果的と考えられるお薬の組み合わせと治療のスケジュールについて最適なパターンがあり、レジメンと呼ばれます。
がん細胞は健康な細胞とは異なり、きわめて速い速度で細胞分裂をくり返すことで、どんどん大きくなる能力があります。
化学療法に用いられるいわゆる「抗がん剤」は、がん細胞がどんどん増えていくことを抑えることにより、治療の効果を発揮します。
がんの進行度合い(病期=ステージ)や、体力に応じた適切な治療方法を検討します。
化学療法がおこなわれる3つのケース
- 4期のように肺か肝臓など胃から遠くの臓器に転移し手術が難しいがんや、手術した後に再発した場合に行われる化学療法。
- 手術ができるけれども、リンパ節などに少しがん細胞が残る可能性がある場合や、手術後に再発する可能性が高い場合に行われる「術前化学療法」。
- CT検査や手術では目には見えないレベルのがん細胞が残っていて、手術の後に再発する可能性を下げるために行われる「術後化学療法」。
化学療法による副作用には個人差があるため、効果と副作用を天秤にかけ、患者様それぞれに適したお薬の種類や量を慎重に検討する必要があります。