腹痛

このような症状がある方へ

早急な受診が必要な症状

以下に該当する場合は速やかにご相談ください。

  • 腹痛が強く耐えられない
  • 腹痛が急激に起こった
  • 腹痛がだんだん強くなってきた
  • 安静状態で6時間以上続く腹痛
  • 腹痛以外にも症状がある(例:下痢、吐き気・嘔吐、胸痛、吐血・下血、意識低下、冷や汗など)

腹痛の原因

腹痛症状がある女性腹痛は様々な原因で起こります。
細菌感染やウィルス感染など一過性で症状が良くなるものもあれば、悪性腫瘍など重大な病気が原因となっていることもあります。
現代社会においては、ストレスによる自律神経の乱れが腹痛の原因となることが珍しくありません。
食道から大腸に至るまでの消化管や、胆のうや膵臓などのお腹の臓器の病気が腹痛の原因になることもあります。
お腹の違和感や痛みが続く場合は、速やかにご相談ください。

腹痛が起きたら確認すること

症状の特徴

  • 痛みの種類(鈍痛、鋭い痛み)
  • 痛みはいつから始まったか
  • 痛みの場所
  • 痛みの場所は変わったか
  • 痛みに強弱の波はあるか
  • 姿勢を変えると痛みが変化するか
  • 腹痛以外の症状(胸痛、発熱、下痢・便秘、吐き気・嘔吐)

腹痛が発症した状況や環境の整理

  • 痛みの原因は思い当たるか(感染症、食べ物、冷え)
  • 治療中の病気の有無(胃・十二指腸潰瘍、がん、生活習慣病など)
  • お薬の服用状況(鎮痛剤やサプリメントなど)
  • ピロリ菌感染の有無
  • 心理的ストレスの有無
  • 妊娠中あるいは妊娠の可能性の有無

腹痛を引き起こす疾患

上腹部

逆流性食道炎

逆流性食道炎では早朝や空腹時、食後に胸焼けや、みぞおち周辺に痛みを感じることがあります。

急性膵炎

急性膵炎では飲酒後や油ものを食べた後に、突然激しい腹痛を認めます。
膵臓は胃よりも背中側にあるため、急性膵炎になると上腹部から背中にかけて強烈に痛みます。
強い痛みのため、まっすぐな姿勢を保てなくなり、前屈みでうずくまる様な姿勢になる特徴があります。

胃・十二指腸潰瘍

胃酸で胃や十二指腸の粘膜がダメージを受けると、粘膜がただれたりはがれ落ちたりして潰瘍ができます。
粘膜の浅い傷をびらん、深い傷を潰瘍と呼びます。
みぞおちから上腹部にかけての痛みや、潰瘍から出血した場合はタール便を認めることがあります。

胆石症、胆のう炎、胆管炎

脂質の多い食事をとった後や夜間に、突然激しい右上腹部痛やみぞおち付近の痛みを認めます。
胆のう炎を発症した場合は、速やかに手術の要否を検討することが望まれます。
胆管炎を発症した場合は、放置すると菌血症など重症化する可能性が高いため、胆管内の膿を排出する処置や、内視鏡で胆管の石を取り除く処置が必要になります。

下腹部

急性虫垂炎(盲腸)

一般的に「盲腸」と呼ばれている病気の正式名称は「虫垂炎」です。
肛門から見ると一番奥にある盲腸につながる、直径3~5㎜、長さ6~8㎝程度の細長い管を虫垂と呼びます。
虫垂に炎症が起こると、時間の経過とともに痛みの場所が移動する傾向があります。

虫垂炎を発症して間もない時にはみぞおち付近が痛むことが多く、虫垂炎の患者様の2/3程度は「胃が痛い」と言われ受診されます。
その他、吐き気や食欲低下などの症状を認めることがあります。
時間が経過するとともに、痛みが右下腹部に限局するようになります。
腹膜炎を合併すると、激しくお腹が痛み、歩くだけでもお腹に痛みが響くようになったり、発熱したりします。

尿路結石

わき腹から背中、腰、下腹部にかけて突然、激しい痛みが起こり、痛みの影響で吐き気や嘔吐、冷や汗などの症状が出ることがあります。
夜間や早朝に痛みが出ることが多く、結石が尿管の中で移動すると血尿が出ます。
腎盂腎炎を合併すると38℃以上の発熱を認めることがあり、入院治療が必要になることがあります。
尿中のシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、シスチンや尿酸などが固まって尿路結石になります。
尿管に結石が詰まることで、上の様な症状を認めます。
診察の際におなかを押されてもあまり痛むことはなく、背中をたたかれると激痛が走る、いわゆる叩打痛を認めたら、尿路結石の可能性が高まります。

感染性胃腸炎(ノロウイルス/カンピロバクター等)

ウイルスや細菌感染でおきる胃腸炎です。
腹痛だけでなく、発熱、嘔気・嘔吐、下痢などの症状が認められます。
ノロウイルスやロタウイルス、アデノウィルスなどのウィルスや、病原性大腸菌やカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなどの細菌などに汚染されたものが口に入ることによって感染します。

過敏性腸症候群

おなかの痛みや膨満感がある、お腹が鳴る、おならがたびたび出るなどのお腹の不快感、なかなか治らない便秘、突如として起こる下痢、下痢・便秘をくり返すといった排便異常が数カ月以上続く場合、を過敏性腸症候群が疑われます。
刺激に対して腸が過敏に反応する「知覚過敏」状態になっているため、わずかな刺激でもおなかの痛みがおこります。

膀胱炎

膀胱で細菌が増殖し膀胱炎がおきると、下腹痛や排尿障害(排尿痛、尿意切迫、頻尿など)や、発熱などの症状を認めることがあります。

腹痛の検査

血液検査・検尿検査

腹痛を認めた際に血液検査を実施すると、血液検査の結果から

  • おなかに炎症がおきていないか?血液検査
  • 細菌感染症がおきていないか?
  • 膵臓に炎症がおきていないか?
  • 胆のうや胆管にトラブルがおきていないか?
  • 貧血が進んでいないか?
  • 血便や下血を認めた場合、上部消化管(食道・胃・十二指腸)からか?下部消化管からか?

などの情報が得られます。腹痛の原因をはっきりさせるために、血液検査は次に受ける検査を検討する際にとても重要な役割を果たします。

また、問診や診察から尿路結石が疑われる際は、検尿検査が重要な役割を果たします。

便検査

便潜血検査細菌による感染性腸炎が疑われる場合は、便培養検査を提出することで、腹痛の原因となった細菌が何か調べることができます。

腹部エコー検査

腹部エコー検査腹部エコー検査で、お腹の臓器を詳しく観察し、腹痛の原因を調べます。
肝臓や胆のう、胆管、膵臓、腎臓や尿管、胃や腸などの消化管、膀胱、子宮や卵巣などに問題がおきていないかおなかに水がたまっていないか?など、詳しく観察し診断します。
腹部エコー検査は、被ばくの心配が全くありません。妊娠中の方やお子様でも安全に受けていただくことができます。

胃カメラ検査

検査室上部消化管(食道・胃・十二指腸)の粘膜をくまなく観察し、痛みの原因となる病気がないかチェックすることができます。
上部消化管に炎症や潰瘍、がんなどの腫瘍がないかくわしく調べます。
疑わしい病変を認める場合は組織を採取し病理検査に提出することで、診断が確実になります。
胃カメラ検査中に、出血を認める場合は内視鏡で血を止める処置も受けていただけます。

大腸カメラ検査

大腸内視鏡検査大腸と小腸の一部(盲腸から届く範囲)の粘膜をくまなく観察し、痛みの原因となる病気がないかチェックすることができます。
感染性腸炎、虚血性腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸憩室炎、大腸がんなどの有無を調べることができます。

TOPへTOPへ