消化器内科

消化器内科とは

お腹をおさえる女性お腹の病気を診察、検査、治療する内科です。
大腸ポリープなど、内視鏡をつかった処置はおまかせください。
お腹をあける手術が必要になった際は、提携する医療機関の外科に紹介させていただきます。
消化器内科では、消化管(食道・胃・十二指腸・・小腸・大腸)と肝臓や膵臓などの疾患について、包括的に診療を行っています。
消化器疾患でよくみられる症状としては、吐き気・嘔吐、胸やけ、飲み込みづらさ、腹痛、胃の痛み・不快感、便秘、下痢、血便などがあります。
疾患によっては体重減少、貧血、発熱などが見られることもあります。
がんなどの重大な疾患でも、病状が進行しなければ自覚症状が現れないこともありますので、注意が必要です。
消化器症状がなかなか改善されない場合は、消化器内科の専門医にお気軽にご相談ください。

腹部診療の流れ

Web問診表の記入

症状の詳細の他にもご不安なことがありましたら遠慮なくご記入ください。

診察

診察室で詳しくお話しをうかがいます。 視診や聴診、触診を実施して腹部をはじめ、全身の状態をチェックしていきます。

検査のご提案

問診、視診、聴診、触診を行った上で、病状にあわせて適切な検査を提案します。

エコー検査

肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、膀胱、前立腺などを精密に観察することができます。 腫瘍、炎症、結石などを把握することができます。

レントゲン検査

腹部のレントゲンでは、張りや痛みを引き起こすガスや便のたまり具合について確認できます。
胸部のレントゲンでは、肺炎や肺腫瘍、胸水や心不全などに関して確認もできます。

血液検査

それぞれの臓器の機能や炎症の度合いなどチェックします。
必要に応じて腫瘍マーカーを調べることで、腫瘍の可能性に関して検討することができます。

CT検査

当院では実施しておりませんが、診察で必要と判断した際は、検査が可能な施設へご紹介させていただきます。
腹部の痛みや、血液検査で見つかった異常の原因究明を行う上で効果的な検査です。
エコー検査では確認が難しい消化管(食道、胃、小腸、大腸、盲腸)や肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓などについてより詳細な検査が可能となります。
また、子宮や卵巣などの婦人科疾患を見つけることも可能です。

内視鏡検査

食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管の内部を観察することができる医療機器です。
いわゆる胃カメラは口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を観察することができます。
大腸カメラは肛門から挿入し、大腸と小腸の一部が観察できます。
炎症・潰瘍・ポリープやがんなどが生じていないか、精密に調べることができます。
また、胃カメラ検査ではピロリ菌感染のチェック、大腸カメラ検査では日帰りでのポリープ切除を同時に行うこともできます。
内視鏡検査は原則として事前予約をお願いしておりますが、患者様の病状で緊急の検査が必要であると判断された場合は、当日検査を提案させていただくこともあります。

内科と消化器内科の違い

内科では、主にお薬と生活習慣指導による治療を行っています。
診療対象の器官や臓器に応じて、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、脳神経内科、代謝・内分泌内科、膠原病リウマチ内科、腎臓内科などの専門科に分かれています。
内科で代表的な症状としては、風邪、吐き気、嘔吐、発熱、下痢、立ち眩み、食欲不振、咳、貧血、胸痛、動悸、むくみ、息苦しさ、しびれ、体重減少、頭痛、脱力などが挙げられます。
症状は1つだけでないことも多いため、医師には包括的な診療スキルが求められます。
当院は生活習慣病などの内科の疾患はもちろん、消化器内科の疾患の診療を得意としています。
食道から大腸にいたる消化管、肝臓、胆のう・胆管、膵臓などの臓器に おこる病気に関しましては、おまかせください。
様々な症状がありますが、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、黄疸、吐血、下血、血便といった症状がよく見られます。
症状が無い方でもピロリ抗体陽性、肝機能異常、腫瘍マーカー上昇などを指摘され受診されます。
当院で適切な検査をおこない、診断を行います。
場合によっては提携先の高度医療機関をご紹介することもあります。

消化器内科の受診をおすすめする症状

以下のような症状がある方は消化器内科を受診されると良いでしょう。

また、健康診断や定期健診、人間ドックにおいて、ピロリ菌感染陽性、便潜血陽性、肝機能異常が判明した方は、症状が無い場合でも速やかにご相談ください。

内視鏡検査をお勧めする症状

以下の症状の方は胃カメラ検査をお勧めします。

以下の症状の方は大腸カメラ検査をお勧めします。

症状がない方でも以下に当てはまる方へ

食道がん、胃がん、大腸がんについては、発症間もない早期の段階ではまったく症状が現れないということが、しばしばあります。
消化器系のがんは早期の段階で見つけて、と早期の段階で治療を受けていただくことで完治を目指すことができます。
このため、症状が無い方でも定期的に検査を受けることが望ましいと思われます。

消化器疾患

食道で見つかる疾患

逆流性食道炎(胃食道逆流症(GERD)、非びらん性食道炎(NERD))

胃酸などを含んだ胃の内容物が食道や口腔内に逆流することで、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる)などの症状を認める疾患です。
その他の症状として、慢性的な咳や、胸の痛み、のどの違和感、喘息のような症状を認めることがあります。
胸の痛みがある場合は、狭心症などの心臓の病気がかくれていないか鑑別する必要があります。
内視鏡検査で食道の粘膜に赤みやびらん(粘膜の表面がはがれた状態)、潰瘍などを認めた場合は胃食道逆流症(GERD)と診断します。
内視鏡検査でとくに所見がない場合は、非びらんせい食道炎(NERD)と診断します。

逆流性食道炎がおきる仕組み

胃と食道のつなぎ目部分で逆流防止の働きをする下部食道括約筋という筋肉が、加齢によって緩くなることで胃酸が逆流しやすくなります。
下部食道括約筋がゆるむ原因としては、食道裂肛ヘルニア、加齢、大食い、脂肪の多い食物などがあげられます。
胃酸の分泌が増えるような病気が隠れていることもあります。
糖尿病や強皮症といった病気で食道の運動がおちて、胃の中のものが逆流することもあります。
脂っぽい食事、肥満、飲酒・喫煙、腹圧がかかることなどが、食道炎の症状を強くすることもあります。
再発率が高いため、消化器内科で適切な治療を受けることをお勧めします。

食道裂孔ヘルニア

お腹と胸を隔てる横隔膜には、食道がぎりぎり通る隙間があります。これを食道裂孔と呼びます。食道は食道裂孔を通って胃に至ります。
食道裂孔ヘルニアとは、本来ならお腹のスペースにある胃の上側の部分が、食道裂孔を通って胸のスペースに飛びでている状態のことを言います。無症状であれば大きな心配は要りません。食道裂肛ヘルニアがあることで逆流性食道炎が起きることがあります。

また、食道裂孔ヘルニアの発症には、

など、腹圧が上がることが影響していると言われています。

食道アカラシア

食道は口から摂った食べ物や飲み物を、のどから胃まで運ぶ管状の臓器です。
食道はぜん動(波のようにリズミカルに筋肉がくびれる運動)することで、食べ物や飲み物を胃まで運びます。
食道をはじめ、消化管には平滑筋という筋肉があり、その動きはアウエルバッハ神経叢という神経によってコントロールされています。
食道アカラシアは、アウエルバッハ神経叢が障害されることで、ぜん動が起きにくくなり、胃と食道のつなぎ目部分がゆるみづらくなります。
飲み込んだ食べ物や飲み物が、胃に運ばれていかなくなり、食道に食べ物が滞留することになります。
飲み込みにくい、飲み込んだものが逆流してくるなどの症状を認めます。
またストレスや冷たい飲み物で症状が強くなる傾向があります。
食道に長時間食物が滞ることで、慢性的な食道炎が起き、食道がんのリスクが高まります。
寝ている間に食道のなかのものが逆流した場合は、誤嚥性肺炎の危険性もあります。
明確な発症原因は不明です。内科治療で効果が不十分な場合は、内視鏡治療や手術による治療があります。

食道がん

早期の食道がんは自覚症状がほとんど無いことが多く、強いて言えばしみる感じ がするくらいです。
進行するにしたがい、飲み込みにくさや声がかすれる、胸が痛むなどの症状が現れます。
健診や他の症状で内視鏡検査を受けた時に、偶然発見される方もたくさんいます。
危険因子としては、アルコール、タバコ、熱い飲食物、食道アカラシア、逆流性食道炎、バレット食道などがあります。
特にお酒を飲んで顔が赤くなる人、今は顔が赤くならなくても、お酒を飲み始めた最初のころに顔が赤くなった人は要注意です。
このような人はお酒を飲んだ時にできる、発がん性の物質であるアルデヒドを上手に分解できないため、食道がんのリスクが高まります。
喫煙と飲酒の両方の習慣がある方は、食道がんだけではなく、のどや口の中の癌のリスクも高まります。
食道粘膜は薄く、がんが転移しやすい傾向にあるため、食道がんの予後は芳しくないとされていますが、内視鏡検査で早期に見つけることができます。
がんが粘膜固有層というごく浅い場所にとどまっている段階でしたら、内視鏡による治療が可能になります。
リスク因子が多い方はこまめに内視鏡検査を受けることが望ましいでしょう。

食道乳頭腫

食道粘膜に白色のできものが生じる病気ですが、自覚症状に乏しく大半は内視鏡検査でたまたま見つかるというケースとなっています。
悪性化することは稀なため、内視鏡検査で経過観察します。

食道アカントーシス

食道乳頭腫よりも微小な楕円形の白いできものが食道粘膜に散在している状態です。
症状がない場合が多く、大半は内視鏡検査でたまたま見つかります。
悪性化することは稀なため、内視鏡検査で経過観察します。食道バレット上皮(バレット食道) もともと食道の内側は「重層扁平上皮」というもので覆われています。
対して胃の内側は「円柱上皮」という別の粘膜で覆われています。
逆流性食道炎によって本来の「重層扁平上皮」が痛み、治る過程で「円柱上皮」に置きかわった状態をバレット食道といいます。
食道との胃のつなぎ目の粘膜が、胃の粘膜のように性質が変化する状態のことを言います。
逆流性食道炎による慢性的な炎症がバレット食道の原因になります。
食道がんが発症するリスクが高まりますので注意が必要です。こまめに内視鏡検査を受け、状態を確認するようにしましょう。

食道カンジダ症(カンジダ性食道炎)

カンジダは真菌(カビ)の一種で、普段は口の中や皮膚に常在しています。
普段、免疫力に問題が無い時は、カンジダは静かに暮らしています。
抗生物質、ステロイド、胃酸抑制剤、免疫抑制剤、抗がん剤などのお薬を内服したり、糖尿病やがん、HIVなどの病気で免疫が低下すると、食道や口の中で増殖し炎症をおこします。
なお、リスク因子となるような病気やお薬の内服がない方でも、疲れやストレスなどで免疫力が低下すると発症することがあります。
自覚症状がないことが多いですが、飲み込む時の痛みや、胸の痛み、つかえ感、胸やけなどを感じることがあります。
胃カメラ検査で、食道の粘膜に酒粕のような白い苔が付着していることでカンジダ症を疑います。
この白い苔を一部採取し、カビがいればカンジダ症と診断します。
免疫力が回復すれば、自然治癒するケースも相応にありますが、カンジダが食道に広く付着し症状が出ている場合はカビに対する治療と、免疫力が低下する病気に対する治療を行います。

好酸球性食道炎(アレルギー性食道炎)

好酸球は、血液中を流れる白血球のうち1~5%を占め、アレルギー反応に深くかかわっています。
食道の粘膜で好酸球が慢性的に炎症をおこすことによって、食道が繊維化し 食道の機能低下や狭窄を招く恐れがあります。
嚥下障害、嘔吐、つかえ感といった症状が特徴的です。 これらの症状に加えて、食道の組織検査で診断します。
小児期、30~40歳台の発症が多いですが、幅広い年代で発症の報告があります。
気管支喘息やアトピー性皮膚炎などを合併していることがしばしばあり、アレルギー反応が関与していることが疑われます。
ステロイド薬の副作用が心配な小児では、アレルギーの原因となる食物を取り除いた、食事療法が有効であると報告されています。
胃酸抑制剤で半数程度は改善しますが、胃酸抑制剤が効かない場合はステロイドによる治療が行われます。 食道が慢性的な炎症で繊維化し、狭くなってしまった場合は内視鏡を用いたバルーン拡張術が行われます。

胃で見つかる疾患

急性胃炎、急性胃粘膜障害(AGML)

アレルギー、ストレス、アルコール、痛み止めのお薬(非ステロイド性消炎鎮痛剤)、アニサキス感染などの影響で胃粘膜に急性の炎症が起きた状態です。
突然起こる胃痛、吐き気、嘔吐、吐血などの症状を認めます。
原因を取り除くことで、自然治癒するケースも多いですが、胃酸抑制剤の投与や内視鏡による治療が必要になることもあります。

慢性胃炎、萎縮性胃炎

慢性胃炎とは、長期間にわたり胃の粘膜に炎症が起きている状態です。
慢性的に胃に炎症がおこることで、胃の粘膜は薄く脆く萎縮してしまいます。
この状態を萎縮性胃炎とよびます。
慢性胃炎の80~90%はピロリ菌感染症が原因と言われています。
その他、痛み止めのお薬(非ステロイド性消炎鎮痛剤)(ロキソニン等)の長期間服用、ピロリ菌感染、ストレス、食べすぎ・飲みすぎなどが原因となります。
胃もたれ、胸焼け、胃痛、吐き気といった症状を認めることがあります。
症状がある場合は、胃酸抑制剤や胃粘膜保護剤などのお薬の服用で治療します。
症状は緩和されますが、再発率が高く完治のためには専門的な治療が必要です。
ピロリ菌が感染が原因となる場合は、将来胃がんを発症するリスクが高まるため、除菌治療をおすすめします。 萎縮性胃炎が進行すると胃がんのリスクが高まります。
早期発見と早期治療のため、定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌感染症

強い酸性の胃酸の中でも生きることができるピロリ菌は、乳幼児期に感染することがほとんどで、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎などの原因となり、胃がんの発症リスクを高めるとも言われています。
除菌治療を行うことでピロリ菌を取り除き、潰瘍や炎症の再発防止に繋がります。

胃潰瘍

胃の粘膜が炎症によってただれて、ダメージが生じている状態です。
げっぷの頻発、みぞおち付近の痛みなどの症状が典型的で、病状が進行すると激しい胃痛、貧血、出血によるタール便などが起こる恐れもあります。
上記のような症状を認めた場合は、胃カメラ検査で胃の状態を確認することが望まれます。
発症原因としては、ピロリ菌感染、痛みどめ(非ステロイド性消炎鎮痛などの長期間服用、血をサラサラにするお薬(クロピトグレル・バイアスピリン・ワルファリン等)などと考えられています。
胃酸の分泌を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬で治療します。
また痛み止めなどの薬を飲んでいる場合は、お薬を中止または変更し、上記の薬を併用します。

胃びらん(びらん性胃炎)

胃粘膜が軽度のダメージを受けている状態で、無症状の場合は急いで治療する必要はありません。
症状がある場合は、病状に応じて胃酸抑制剤や胃粘膜保護剤などを服用して頂きます。

胃がん

胃がんは日本人によく見られる病気です。2021年の統計では、胃癌の死亡者数は男性では3位、女性では5位、総合では3位と死亡者数が多いことが特徴です。
発症間もない段階で発見できれば、内視鏡治療によって完治を目指すことが可能です。
自覚症状が乏しい早期の状態で発見することが望ましく、リスク因子が多い方は胃カメラ検査をこまめに受けるようにしましょう。
ピロリ菌に感染している場合は、慢性的な炎症によって胃がんの発症リスクが増大しますので、注意が必要です。
胃カメラ検査ではピロリ菌感染の状態についても確認が可能です。
一度ピロリ菌を除菌できれば再感染の心配はほとんどなく、胃癌が発症するリスクを低くすることができます。

胃底腺ポリープ

ピロリ菌感染が起きていない胃で生じやすいという特徴があるポリープです。
ほとんどの場合は良性のため、経過観察のみで急ぎの治療は必要ありません。

過形成性ポリープ

ピロリ菌が感染している萎縮性胃炎のある胃に発症します。
除菌治療が上手くいった場合、ポリープが小さくなったり、消滅することがあります。
経過観察を行い、増大傾向にある、サイズが大きい、出血リスクが高く貧血の原因となっていると考えられる場合は内視鏡で切除することもあります。

機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)

胃もたれ、胃の痛みといった症状が起こる一方で、胃カメラや血液検査では胃がんや胃潰瘍といった大きな異常が見つからず、症状の原因がわからない場合は、機能性ディスペプシアの疑いが強まります。
胃の知覚過敏、機能障害、精神的要因などが原因とされ、症状別に最適なお薬の処方、消化管の機能改善を図るお薬、生活習慣の見直しが症状改善に効果的とされています。
症状を認めて病因を受診した人の約半数にFDが見つかるといわれており、とてもありふれた病気です。
治療によって症状が良くなれば、日ごろの生活の質も向上するため、適切な治療を受けていただくことが重要です。

アニサキス症

アニサキスはサバ、サンマ、イカ、サケ、イワシ、カツオといった普段からよく食べる魚介類に寄生する寄生虫です。
生食や十分に加熱しないで摂取した場合、感染の恐れがあります。
魚介類の生食を避けること、充分に加熱調理(60℃で1分以上)、または冷凍処理(-20℃で24時間以上)することが予防につながります。
酢、しょう油、ワサビではアニサキスは死滅しないため、注意が必要です。
胃アニサキス症は胃やみぞおち付近の強烈な痛み、吐き気、嘔吐といった症状が現れます。
内視鏡でアニサキス虫体を除去することができれば症状はすぐに良くなりますので、気になる症状があれば食事を控えた状態で当院までご相談ください。

十二指腸で見つかる疾患

十二指腸炎

十二指腸粘膜で炎症が起こっている状態です。
ピロリ菌感染、飲酒、ストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等の痛み止め)の長期間服用などによって引き起こされるとされています。
軽症では無症状の場合もありますが、炎症が強くなるとみぞおちや背中が痛んだり、お腹がはることがあります。
胃酸の分泌を抑えるお薬で症状を改善する治療に加えて、発症原因を取り除くことによって再発防止を目指していきましょう。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜が慢性的な炎症によって、組織がはがれ落ち、えぐられた状態を言います。
ピロリ菌感染や、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等の痛み止め)の長期間服用などによって引き起こされるとされています。
十二指腸壁は胃壁よりも薄いため、潰瘍が生じると穿孔(腸に穴が開くこと)が生じやすい傾向があります。
また、出血リスクが高いとも言われています。
したがって、なるべく早めに専門医による適切な治療を受けることが重要です。
胃潰瘍と同じような治療を行い、ピロリ菌感染が認められる場合は、除菌治療が上手くいくと再発防止に繋がります。

大腸で見つかる疾患

感染性腸炎・食中毒・急性胃腸炎

食中毒、感染性腸炎(ウイルス、細菌などの病原体に感染すること)が原因で発症します。細菌感染によって発症した場合は、抗菌薬が効果を発揮します。
ウイルス感染が原因となる場合は、抗菌薬は無効なため、症状を落ち着かせるための対症療法が中心となります。
発症原因となる細菌は、カンピロバクター、病原性大腸菌(O157など)、サルモネラなど、ウイルスとしては、ロタウイルスやノロウイルスが、代表的なものとされています。
症状としては、発熱、嘔吐、下痢などが特徴的ですが、市販の吐き気止めや下痢止めを使うことでかえって毒素が排出できなくなり、症状が悪化する恐れがあります。
できるだけ早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。
また、嘔吐によって水分補給に支障をきたしている場合やひどい下痢を認める時は、脱水症状のリスクもありますので注意が必要です。

虫垂炎

俗に言う盲腸ですが、実際は盲腸から垂れ下がった虫垂という場所に起こる炎症のことです。
初期段階では胃の近くで不快感が現れるようになり、次第に右下腹部に不快感が移りながら痛みが強くなる傾向を認めます。
その他、吐き気や嘔吐、食欲不振、発熱や下痢などの症状を認めることがあります。
軽い炎症であれば、抗生物質の服用で症状は良くなりますが、1年以内に再発するリスク2~4割といわれています。
中等症から重症の場合は腹膜炎を発症するリスクが高いため、外科手術が必要となることがあります

大腸ポリープ

大腸の粘膜に生じるイボのように盛り上がったものをポリープと呼びます。
腺腫は時間が経つにつれて組織の一部ががん化する恐れがあることから、腫瘍性ポリープと呼ばれ、前がん病変と考えられています。
その他、過形成ポリープや炎症性ポリープのように悪性化しない非腫瘍性ポリープに大別されます。
ポリープがあっても自覚症状が乏しいケースがほとんどで、生じた位置やサイズによっては、偶然血便や便潜血陽性で発見されることもあります。
無症状のケースも含め、大腸カメラ検査で見つけられます。
見つかったポリープは検査中に日帰り切除ができます。(ポリープのサイズによっては、入院治療が必要となることもあります。
入院治療が必要なポリープが見つかった際は、処置が可能な施設へ紹介させていただきます)
腺腫の段階でポリープを切除することが大腸がんの発症予防につながると言われています。

大腸がん

国内で発症例が増加傾向にあります。
2021年の統計では、大腸癌の死亡者数は男性では2位、女性では1位、総合では2位と死亡者数が多いことが特徴です。
時間をかけて進行する特徴があり、発症間もない早期の段階で見つけることができれば、内視鏡または手術で根本的な治療ができる可能性が高まります。
初期段階の大腸がんや、前がん病変である大腸ポリープを切除するためには、こまめに大腸内視鏡検査を受けることが望ましいです。
無症状で進行していき、転移した段階でようやくがんの存在に気づくというケースも多いため、がんのリスクが増大する40代を迎えてからは、無症状でも定期的に検査を受けることをお勧めします。
なお、ご家族に大腸がんの罹患者がいる、便潜血陽性と判明したという方については、40代より前になるべく早く検査を受けることが望ましいでしょう。

亜腸閉塞・腸閉塞

手術後の腸管癒着で、腸管が曲がったりふさがったりすると腸閉塞が生じることがあります。
大腸がんや前がん病変である大腸ポリープによって引き起こされることが、近年増えています。
その他、お薬の影響が原因となることもあります。
腸の機能低下、通過障害が起こり、病状や発症原因によっては外科手術を要するケースもあります。
多くの場合は便秘、腹痛、吐き気・嘔吐、腹部膨満感、おならが出ないといった症状が現れます。

大腸憩室

憩室とは、腸の壁の構造的に弱い部分が一部、腸の外側に向かって風船のように飛び出たもので、消化管のあらゆるところに出来ることがあります。
憩室は、便秘など腸管内の圧力が高まることで生じると言われています。比較的ありふれたもので、加齢に伴い増える傾向を認めます。我が国では右側の大腸(上行結腸)にできやすい傾向を認めていましたが、食事の欧米化などに伴い、左側の大腸(下行結腸、S状結腸)の憩室が増加しています。
症状が無ければ急ぎで治療する必要はありません。
なお、憩室から出血したり、細菌感染による炎症が起こることがあります。
このような時は、なるべく早めに専門医に相談する必要があります。

大腸憩室炎

憩室の中が便などで満たされ、細菌が増殖することで憩室に炎症がおきることがあります。

中年~高齢者、普段から便秘ぎみの人、大腸憩室炎の病歴がある人に起きやすいと言われています。
軽症の場合は抗菌薬の使用によって症状は良くなります。
炎症が広がって腸が穿孔(穴が開いてしまう)しまったり、膿瘍(膿のたまりができてしまう)手術が必要となることがあります。

憩室出血

急激な血便が起こりますが、腹痛が生じることは稀です。
血液をサラサラにする薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等の痛み止め)、高血圧などの影響で、発症しやすくなる傾向にあります。
血圧などバイタルサインが安定している時は、安静と絶食によって快方に向かう場合が多いです。
なかなか出血が止まらない場合や、血圧などバイタルサインが不安定な場合は、内視鏡検査を行い、出血源を認めた際は、クリップを使用して止血します。
大量に出血し、内視鏡では止血困難な場合は、血管造影を行いカテーテルで止血することもあります。
カテーテルでも止血できない場合は、手術を要することもあります。

虚血性腸炎

突然の腹痛に引き続いて起こる、血便が、特徴的な症状として知られています。高齢者や便秘がちの人に起きやすいと言われています。
大腸に栄養や酸素を運ぶ血管が動脈硬化などの原因で、狭窄や閉塞してしまうことで血液の流れが滞り、大腸の粘膜が障害され、腸管の壊死に至ることもあります。
粘膜の障害が及ぶ範囲によって血便や腹痛の程度も左右されます。
大抵はお食事をお休みにして、お腹を安静にすれば快方に向かいますが、細菌感染を合併した場合は抗菌剤の使用を要するケースもあります。

切れ痔(裂肛)、いぼ痔(痔核)、痔ろう(あな痔)の3種類に大別され、さらに、いぼ痔の中には内痔核と外痔核という2種類があります。
症状や適切な治療法はまちまちで、特に痔ろうは手術が不可欠となります。
切れ痔やいぼ痔は生活習慣の見直し、内服薬、坐剤の使用による保存療法で治療できるケースがほとんどですので、気になる方はまずは当院までご相談ください。
また、痔は再発率が高いため、完治させるためには手術による専門的な治療が必要となります。

潰瘍性大腸炎

大腸や小腸の粘膜(最も内側の層)に炎症がおきる原因不明の病気を 炎症性腸疾患(IBD)といいます。
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症がおきて、潰瘍やびらんができる炎症性腸疾患です。
わが国においては近年、増加傾向を認めています。
発症のピークは20~29歳と言われています。
下痢、血便、腹痛などの症状を認めます。重症になると、貧血、発熱、体重減少を認めます。原因は明らかになっていないため、完治は難しいとされています。

大腸カメラ検査の際に、潰瘍性大腸に特徴的な病変がないかをくまなくチェックし、組織の一部を採取して病理検査を行うことで診断します。
大腸カメラ検査を受けていただくことにより、炎症の状態がわかり、適切な治療が可能となります。
また発症後10年程度たちますと、潰瘍性大腸炎による大腸がんが発症するリスクが高まります。
定期的に大腸カメラ検査を受けていただくことが、治療に役立ちます。

厚生労働省から難病指定されているため、医療費助成の対象ともなる可能性があります。(病状によっては医療費助成の対象とならないこともあります。詳しくは専門医とご相談ください)

お薬によって炎症を抑える内科的な治療がメインとなります。
お薬が効かず重症となった場合や、がんを認めた場合は外科的な手術による治療が必要となります。
炎症を抑えるためには5-アミノサリチル酸製剤を使った治療が一般的ですが、血球成分除去療法、免疫調整剤、抗体製剤などのバイオ製剤など検討することがあります。
炎症そのものを抑える治療を受けていただくことで、発症前と遜色ない生活を送って頂くことも期待できます。
現在は、炎症性腸疾患に有効とされるバイオ製剤の投薬方法の選択肢も広がりました。1日でも早く治療することで症状を軽くし、病気のことを忘れて過ごせるお手伝いをさせていただきます。

クローン病

クローン病も炎症性腸疾患(IBD)のひとつです。
口から肛門にいたるまで、消化管のあらゆる部位にも炎症や潰瘍が広がる可能性があります。
主に小腸と大腸に病変を認める傾向があります。
潰瘍性大腸炎と同じく、原因は不明です。
食生活の欧米化などにともない、患者さんは年々増加しています。10歳代~20歳代の若い方に好発します。
厚生労働省から難病指定を受けている炎症性腸疾患で、病状により医療費助成の対象となる可能性があります。

腹痛、下痢を半数以上の患者さんで認めます。潰瘍性大腸炎と比べて頻度は下がりますが、血便を認めることもあります。
病状が悪化すると貧血や、低栄養、体重減少、発熱や全身倦怠感を認めることもあります。
クローン病は粘膜(最も内側の層)だけでなく、消化管の全ての層に炎症が起きる可能性があるため、狭窄(腸が狭くなること)や瘻孔(炎症などによって穴が開くこと)などの合併症を認めることがあります。

診断には内視鏡検査と病理検査が役に立ちます。
その他CT検査やMRI検査、カプセル内視鏡検査が必要と判断した際は、可能な施設への紹介を提案させていただきます。
クローン病の治療としては、栄養療法(食事療法)やお薬による内科的な治療がメインとなります。
腸が狭くなり食事が食べられない、腸に穴が開いてしまった、なかなか治らない痔ろうができてしまった場合は手術による治療が必要となります。
炎症を抑えるためには5-アミノサリチル酸製剤や免疫調整剤の内服薬が使われます。
これらの治療で不十分な場合は、抗体製剤などのバイオ製剤の投与、血球成分除去療法を検討します。
適切な治療を受けていただくことで、発症前と遜色ない生活を送って頂くことも期待できます。
ただし症状が落ち着いていても、再度炎症がおきる可能性がきわめて高いため、治療を継続することが望まれます。
またお腹の調子が良いときでも、動物性脂肪のとり過ぎやアルコールで炎症が悪化するリスクがあるため、食事には注意が必要です。

現在は、炎症性腸疾患に有効とされるバイオ製剤の投薬方法の選択肢も広がりました。1日でも早く治療することで症状を軽くし、病気のことを忘れて過ごせるお手伝いをさせていただきます。

ベーチェット病

皮膚症状、口腔内のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、眼のブドウ膜炎の4つの症状が主な症状になります。原因は不明です。
腸管に潰瘍を認めると腸管型ベーチェット病と呼びます。
腸管型ベーチェット病では腹痛、血便、下痢といった消化器症状が起こります。
ベーチェット病も難病指定を受けているため、病状によって医療費助成の対象となります。
免疫調整剤やステロイドに加えて、バイオ製剤の登場により治療成績が向上しています。

過敏性腸症候群(IBS)

大腸カメラ検査で腸に炎症や潰瘍などの異常を認めず、血液検査でもホルモンの異常などが認められないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通異常や、お腹に膨満感や痛みが数カ月以上続くときに最も考えられる病気です。
急激な下痢が頻発する下痢型、便秘が長期化する便秘型、下痢型と便秘型が合わさった交互型に大別されます。
強いストレスで不安状態になると、腸の運動が激しくなることに加えて、痛みを感じやすい知覚過敏の状態になることが一因と考えられています。
最近では国内でも発症数が増加の一途をたどっており、日本人の10〜15%が発症しているとの見方もあります。
症状ごとに最適な治療を受けることで、QOLを維持できるようにすることが大切です。
3か月以上続くお腹の痛みや、腹部膨満感、便通異常を認めるようでしたら、専門医へご相談をおすすめします。

便秘

何日も排便できていない状態だけでなく、強くいきんでも排便できない、ウサギのような硬くてコロコロした便が出る、排便できても残便感があるといった場合も含めて「便秘」と考えられています。
大腸の動きが低下することでおきる機能性便秘と、大腸がんやクローン病、腸管癒着、大腸の周辺の臓器のがんによる腸管の圧迫など、大腸が狭くなることでおきる器質的便秘に大きく分けられます。

機能性便秘は症状によって、排便回数現象型と排便困難型に分けられます。
排便回数現象型はストレスや運動不足によって、大腸の動き(ぜん動)が弱くなり直腸まで便が届きにくくなり、排便回数や排便量が減少します。
排便困難型は飲水量が少ないことなどにより便が硬くなり、便が出しにくくなったり、いきまなくては便が出なくなります。
抗うつ剤などのお薬の影響や、甲状腺疾患、糖尿病、慢性腎不全、パーキンソン病で便秘になることもあります。
中には大腸がんなど至急で対処すべき疾患が潜んでいることもあり、専門医にしっかり相談することが望ましいでしょう。
また、病気が原因でない場合でも、便秘がなかなか治らないことによって、痔の発症に繋がる恐れもありますので、お悩みの方はまずは当院までご相談頂ければと思います。

肝臓で見つかる疾患

肝障害

健診の際のなど血液検査で、ALT(GPT)、γ-GTP、AST(GOT)の数値に異常が見つかった時は、無症状のことが多いですが、重大な肝疾患が原因として潜んでいる恐れがあります。
異常が見つかったら、なるべく早めに専門医に相談することをお勧めします。
腹部エコー検査、腹部CT検査にてより詳しく検査して、慎重に診断し治療方法を検討します。

急性肝炎(ウイルス性、アルコール性、自己免疫性肝炎)

肝細胞に急性の炎症がおきると、全身倦怠感や、発熱、食欲不振、黄疸、褐色尿などの症状がみられます。
急性肝炎の原因として、ウイルス性感染、アルコール性、自己免疫性、薬剤性などがあります。
ウイルス性肝炎はほとんどの場合がA~E型肝炎ウイルスによるものですが(その中でもB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが多い)、EBウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスによる肝炎もあります。
無症状なことが多く、安静や薬物による治療などで改善することが多いのですが、慢性化したり劇症化といって急激に全身の状態が悪化することもあります。
また肝障害が見つかった際には慢性的な肝炎から肝硬変や肝臓がんといった重大な病気に進行するリスクがあるため、速やかに専門医へご相談ください。

脂肪肝

肝臓に脂肪が蓄積した状態で、特に自覚症状はありません。
エコー検査やCT検査、または組織検査などで診断します。
肝硬変や肝臓がんへと至る恐れがあります。
脂肪肝は、全身でインスリンが効きにくくなる、インスリン抵抗性が進み、糖尿病を発症するリスクが高まります。
加えて脂質異常症や高血圧、糖尿病といった動脈硬化の進行リスクを高め狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患の合併率が高くなります。
生活習慣病の発症や進行にも影響を与える恐れがあることから、ダイエットや1日30分以上のウォーキングなど生活習慣の見直しを行う必要があると考えられています。

NASH(非アルコール性脂肪肝)

飲酒が脂肪肝を発症する重大な原因と考えられていますが、飲酒をしない(もしくは少ししか飲まない。エタノール換算で1日20g以下)方が脂肪肝になるケースもあります。
食事のとり過ぎや運動不足でカロリーが過剰になると、肝臓で中性脂肪がたくさん作られて脂肪肝になります。約1割が肝硬変や肝臓がんへと至る恐れがあります。
したがって、運動療法や食事療法だけでなく、血液検査と腹部エコー検査によってこまめにご自身の肝臓の状態を確認されることが望ましいでしょう。

肝硬変

慢性肝炎が長期化すると、肝細胞の破壊と再生が繰り返され、徐々にかさぶたの様な物質に置き換わってゆきます。
このことを線維化とよびます。
肝臓本来の構造が破壊され、線維化することで肝硬変を発症します。肝臓がんの発症リスクが上昇するため注意が必要です。
また、肝硬変が進行することによって肝臓への血流が滞り、胃や食道で静脈瘤が生じる恐れがあります。
静脈瘤の破裂によって大量出血が起こると、最悪の場合は命にかかわる重篤な状態となることもあります。
その他、アンモニアがたまることで、肝性脳症という意識レベルの低下や、昏睡状態となるリスクがあるなど、合併症についても注意が必要です。
したがって、定期的な受診と、血液検査と腹部エコー検査をされることをおすすめします。

肝臓がん

日本の肝臓がんによる死亡者は年間で約2.4万人(2020年)とされており、男性の方が多くなっています。
肝臓がんが発症する主な原因はC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスによる肝硬変です。
近年ではアルコール性肝硬変やNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の肝硬変から発症するケースも増加しています。
初期には自覚症状がほとんどないため、リスク因子が多い方は専門医に相談のうえで適切な検査と治療を受けることをお勧めします。
(リスク因子:C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスの感染、大量の飲酒歴、脂肪肝、肥満、糖尿病)
特に、肝臓がんは気づかない内に進行してしまう傾向にありますので、健診などで肝機能の異常が見つかった方は速やかに当院までご相談ください。

胆のうで見つかる疾患

胆石

胆のうの中に生じた結石のことで、無症状であれば急いで治療する必要はありません。
なお、みぞおちや右上腹部に痛みが生じている場合は、胆のう炎を発症している可能性があるため、なるべく早めに当院までご相談ください。
抗生物質の投与や食事制限によって症状が改善されることもありますが、深刻な症状の場合は緊急入院と緊急手術を要するケースもあります。
また、慢性的に胆のうに炎症が続くと、胆のうがんを発症する恐れもありますので、無症状の方もこまめに腹部エコー検査を受けることが望ましいでしょう。

総胆管結石

胆汁の通り道である総胆管に胆石が落下すると、吐き気、痛み、黄疸、発熱といった症状が現れることがあります。
また、胆管に胆石が詰まり胆汁の流れが滞ることで、胆管内で腸内細菌の感染が起こり、胆管炎を発症します。
右上腹部の痛み、黄疸、発熱、悪寒、震えといった症状が現れることもあります。腹部の診察、血液検査、腹部エコー、CT、MRI、などで診断します。
最終的には高度医療機関で内視鏡下で結石を取り除くこととなります。
当院では血液検査、腹部エコー、などを実施することが可能であり、スピーディーな診断と高度医療機関との緊密な連携によって患者様をサポートさせていただきます。

胆のう炎

胆のうは肝臓で作られる胆汁をたくわえる袋です。
脂肪分を含む食べ物が十二指腸にとどくと、胆のうが縮み胆汁と食べ物が混ざります。
胆汁は小腸から脂肪が消化・吸収されるために役立ちます。
胆石が胆のう管という胆のうの出口部分まで移動し、胆のう管が塞がってしまうことで、胆汁の流れが滞り、胆のうに炎症が起きます。
腹部エコー、CT、血液検査などで診断を行います。
また、病状に応じて入院治療や胆のう摘出手術が必要となることがあります。

胆管炎

胆管が結石で塞がってしまったり、胆管がんなどによって胆汁が滞留してしまうと、胆管内で腸内細菌の感染が起こり胆管炎を発症します。
右上腹部の痛み、発熱、黄疸などの症状を認め、胆汁の中で増殖した細菌が血液の中に漏れ出すと菌血症になり悪寒や震えなどの症状が現れます。
速やかに胆管の中の結石を取り除く必要があります。
当院ではスピーディーな診断と高度医療機関との連携によって患者様をサポートさせていただきます。
なお、高度医療機関ではでは抗生剤の点滴、内視鏡で結石を取り除く処置、腫瘍で胆管が閉じている場合は胆管ステント留置処置などを行います。

胆のう腺筋腫症

胆のうの壁の一部または広範囲にわたって厚くなる原因不明の病気です。
多くは良性で無症状となります。腹部エコー検査でたまたま見つかることがほとんどで、胆のうがんを疑う所見がなければ、年1回程度エコーで経過観察をすれば問題はありません。
なお、サイズや形状次第で胆のうがんとしっかり区別するために、超音波内視鏡検査(EUS)やMRI検査、CT検査などでより詳しく調べることが必要となることがあります

原発性硬化性胆管炎(PSC)

胆管の壁が炎症によって繊維化し内部が狭くなることで、胆汁がうっ滞して肝硬変や肝不全を引き起こす進行性の病気です。
体が疲れやすい、皮膚がかゆくなるなどの症状がみられ、進行すると黄疸を認めます。
どちらかと言うと男性の患者様が多く、20代と60代で発症率が高まります。原因は不明ですが、潰瘍性大腸など炎症性腸疾患との関連性が認められています。
原発性硬化性胆管炎の病態に関与する腸内細菌が報告されています。また、膵炎の中でも免疫が影響する自己免疫性膵炎を併発するタイプの胆管炎もあります。
血液検査、MRI検査、CT検査、エコー検査などで診断します。
PSCと炎症性腸疾患が合併すると大腸癌のリスクが高くなるため、該当する場合は定期的な大腸カメラ検査が必要となります。

胆のうポリープ

胆のうポリープとは、胆のうの内側をおおう粘膜に発生したキノコ状の隆起のことです。
多くの場合は良性のコレステロールポリープですが、いずれがん化する恐れがある前がん病変である腺腫性ポリープや胆のうがんも胆のうポリープに含まれます。
定期的な腹部エコー検査にてポリープの形状やサイズを経過観察します。
ポリープが1cm以上となりましたら超音波内視鏡検査などの精密検査を受けていただいたうえで、胆のう摘出手術を提案させていただくこともあります。

胆のうがん・胆管がん

早期には自覚症状に乏しく、胆のう壁は薄く、隣接する肝臓にも悪影響を及ぼすリスクが高いことから、治療が困難ながんの一つと考えられています。
早期発見が極めて大切となります。
膵管胆管合流以上、胆のう腺腫やポリープ、胆石などのリスク因子を持っている場合はこまめな精密検査(腹部エコー、CT)を受けることが望まれます。
また、胆管がんについても早期発見しづらいがんであり、黄疸や胆管炎症状(発熱・腹痛)、肝機能異常を指摘されてから見つかるケースが多いと言われています。
逆行性胆管膵管造影検査、超音波内視鏡検査など専門的な内視鏡・画像検査と治療を要しますので、提携先の高度医療機関をご紹介の上でサポートさせていただきます。

体質性黄疸

ビリルビンは赤血球に含まれる黄色い色素で、寿命を迎えた赤血球がこわれた際にできます。
黄疸はビリルビンをうまく分解したり、排泄したりできない時におこります。
白目や皮膚が黄色っぽくなる病気で、血液検査の際にビリルビンの値が高くなっていることで分かります。
先天的要因で引き起こされることが多く、風邪や疲労、栄養状態などが影響して症状が悪化する傾向があります。
体質性黄疸の発症割合は50人に1人程度です。
治療が必要となることは稀で、大多数の方は経過観察でお過ごしいただけます。

膵臓で見つかる疾患

膵炎

膵臓はインスリンという血糖を下げるホルモンを分泌する機能と、食物の消化を助ける消化酵素(膵酵素)を含んだ膵液を分泌する機能を持ち合わせています。
膵液は膵臓の中の膵管を通って、十二指腸に分泌されます。
しかし、なんらかの原因でうまく分泌されないと、膵酵素が膵管の中で活性化されてしまいその結果、膵臓が膵酵素で消化され膵炎を発症します。
膵炎は膵臓に炎症が起こっている状態で、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎に大別されます。
急性膵炎の原因として男性ではアルコール性膵炎が多く、女性では胆石による膵炎が多いと報告されています。
その他の原因として過剰な中性脂肪などがありますが、20%程度は明確な原因が不明なこともあります。
急性膵炎は突如として強烈な腹痛に襲われ、入院をして絶食・安静・点滴が必要となります。
重症化すると血液浄化療法が必要になったり、命にかかわるような状態になるため注意が必要です。

慢性膵炎は膵臓に長期間にわたり炎症が続くことにより、線維化や石灰化など修復不能な変化を認め、膵臓の機能が失われてしまいます。
ほとんどは長期にわたる過度な飲酒が原因とされています。
インスリンを分泌する能力が失われると糖尿病を発症し、膵液(消化酵素)を分泌する能力が失われると食べ物の消化・吸収が障害され、下痢や脂肪便を認めるようになります。

自己免疫性膵炎は、ご自身の免疫がご自身の膵臓にダメージを与えてしまう病気のことです。
高齢男性に好発します。
膵臓の一部もしくは全体が腫れ上がり、胆管や膵管の狭窄や黄疸が起こる恐れがあります。
ステロイドや免疫抑制剤を使って治療を行います。
一般的にはステロイド治療が有効なのですが、治療中でも20~40%の方に再度膵炎がおこると言われています。

膵がん

がんのできる場所によっては黄疸などの自覚症状が出にくいため早期発見しづらい傾向にあるため、予後が悪いがんとして知られています。
近年、死亡者数が増加の一途をたどっています。
2000年以前と比べると、抗がん剤による化学療法の進歩によって、生存期間は改善されています。
膵臓がんの家族歴、慢性膵炎、膵のう胞(粘液の袋)や糖尿病、肥満、喫煙習慣がリスク因子となりますので、こまめに血液検査、腹部エコー、CT、MRIを受けることで早期発見に繋げていきましょう。

膵のう胞

膵臓や膵管(膵臓の中の管)でドロドロした液体が蓄積した状態です。
MRIなどの画像検査の発達により発見される患者さんが増加しています。
多くは症状が現れないため心配は要りませんが、がん化したりがんのリスクを高めるものもありますので、見つかった時点からこまめに経過観察することが大切です。
急性膵炎や慢性膵炎による炎症が原因で発生するケースもあります。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(膵IPMN)

膵のう胞の一種で、膵液が通過する膵管でどろどろとした粘液を生じさせる良性腫瘍です。
無症状なことが多く、腹部エコーの際にたまたま発見されるケースが大半です。
なお、良性からしばらく経って悪性に変わるものや膵臓がんのリスクを高めるものもありますので、こまめに血液検査や腹部エコー、MRIを受けて経過を注視することが大切です。

腹部エコー検査について

超音波エコー内視鏡検査でチェックできない臓器を精緻に観察する上で効果的です。
肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺などの観察に適しています。腸管のむくみや腹水(お腹の水)をチェックする上でも有効です。
被ばくの危険性が全くない安心安全な検査で、不快感や痛みが生じづらいというメリットもあります。
また、下剤の服用などの事前準備も不要で、利便性が高い検査といえます。
何度も検査を受けることも可能で、逐一患者様の状態のチェックが可能であることから、消化器内科では日常的に実施される検査です。
特に、上に記載した臓器の腫瘍や、胆のう炎、胆石、肝のう胞、尿路結石、膵のう胞などを見つける目的や、胆のう、肝臓、膵臓の状態を定期検査する際に効果を発揮します。

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