胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

胃痛症状がある女性胃粘膜から分泌される胃液には食物を消化したり、体の外から細菌が侵入することを防ぐために、塩酸と同じくらい強い酸性の胃酸が含まれています。
胃粘膜は通常は粘液という液体で守られているため、胃酸で溶かされることはありません。
胃酸の分泌が増えたり、粘液が減ってしまうと胃や十二指腸の粘膜は胃酸によってダメージを受け、粘膜がただれたりはがれ落ち、潰瘍になります。
ピロリ菌感染が原因となることがほとんどですが、痛み止めや血液をサラサラにするお薬の副作用、飲酒喫煙、ストレスなどが原因となることもあります。
潰瘍ができるとみぞおち付近が痛みます。
その他の症状としては、胸やけ、胃もたれ、食欲低下、膨満感、胸痛、タール便、貧血などがあります。
胃カメラ検査で粘膜の状態をくまなく観察することで確定診断し、最適な治療方法を検討します。
また、胃カメラ検査時に止血処置やピロリ菌感染検査も可能なだけでなく、胃がんと区別するための病理検査も提出できます。
胃酸分泌薬の服用で速やかに症状の緩和が期待できます。
ピロリ菌感染が起こっている場合は除菌治療が成功すると炎症や潰瘍が再発することがほとんどなくなります。
内視鏡検査の結果でピロリ菌感染が判明した場合は、2回目までの除菌治療(二次除菌療法まで)が保険適用で受けられます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

  • 胃やみぞおちの痛み、背中の痛み
  • 食事中や食後におきるみぞおちの痛み→胃潰瘍の症状
  • 早朝や食前など空腹時に生じるみぞおちの痛み→十二指腸潰瘍の症状
  • ゲップが多くなった
  • 呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる感じ)
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 食欲低下
  • 吐血、黒っぽいタール便
  • 貧血
  • 体重減少

など
上記のような症状がありましたら、なるべく早めにご相談ください。
また無症状のこともありますが、十二指腸潰瘍をこじらせますと、十二指腸に穴が開く危険性もあり注意が必要です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

ピロリ菌ピロリ菌感染が原因となるケースが最も多いと言われています(胃潰瘍の70%、十二指腸潰瘍の95%がピロリ菌が原因といわれています)。
ピロリ菌は乳幼児期に感染して胃の中に生息することで、長期にわたり粘膜に炎症を引き起こします。
胃や十二指腸の粘膜が慢性的な炎症によって大きなダメージを受けると、胃・十二指腸潰瘍が発症します。
その他、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止めや、血液をサラサラにする抗凝固薬の副作用で粘膜を守る粘液が少なくなると、粘膜が強酸性の胃液によるダメージを受け潰瘍が生じるケースもあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査

胃カメラ検査が中心となります。胃カメラ検査中に、組織検査やピロリ菌感染症の検査、必要に応じた処置ができます。
造影剤を使ったレントゲン検査を行っている施設もあります。

造影剤を使ったレントゲン検査

レントゲン検査室上部消化管X線検査と呼ばれ、バリウムを飲んだ後にX線で食道・胃・十二指腸に病変がないか探す検査です。
一般的に「バリウム検査」と呼ばれています。
相応に精度の高い検査となりますが、
胃カメラ検査のように組織採取、ピロリ菌感染検査を行うことはできません。
バリウム検査で病変を認めた際は診断を確定するために胃カメラ検査が必要となります。
様々な角度から複数枚の写真を撮影する必要があり、被ばくのリスクがあることから、当院では実施しておりません。

胃カメラ検査

胃内視鏡検査鼻や口からスコープを挿入し食道、胃、十二指腸、といった上部消化管の粘膜を詳しく観察します。
上部消化管の状態を隈なくチェックできますし、組織採取による生検で確定診断につなげることもできます。
また、ピロリ菌感染検査や止血処置を行うこともできます。
検査結果で、病状に応じた最適な治療を提案できます。
当院では無痛胃カメラ検査にも対応しています。
熟練の専門医が総合病院でも使われている高度な内視鏡システムを使って検査を行いますので、時間をかけずに高精度な検査を受けていただけます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療

胃カメラ検査の際に採取した組織を使ってピロリ菌感染が判明した場合は、保険適用の範囲内で除菌治療のご案内ができます。
潰瘍にともなう症状そのものは、P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)、PPI(プロトンポンプ阻害薬)、H2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制剤を内服していただくことで症状は緩和させることができます。
また、胃粘膜を守るため、病状に応じて粘膜保護薬や防御因子増強剤なども併用することもあります。

ピロリ菌感染検査と除菌治療

ピロリ菌感染が判明しましたらピロリ菌を退治する除菌治療を受けていただくことで、潰瘍が再発するリスクが減少します。
ピロリ菌が感染すると胃粘膜に炎症がおきます。
慢性胃炎がさらに長期間続くと、炎症で胃粘膜が薄く脆い状態となる萎縮性胃炎へと進行します。
胃の粘膜が萎縮してしまうと腸上皮化生(胃粘膜が腸粘膜に似た状態に変性すること)を伴うようになり、がん化するリスクが高まると考えられています。
ピロリ菌除菌が成功すると炎症や潰瘍の再発もほとんど起こらなくなるため、胃粘膜の萎縮がおこりにくくなり、胃がんの発病の予防に繋がります。
なお、ピロリ菌感染が一度でも起こると、仮に除菌が成功しても胃がんの発症リスクをゼロにすることはできません。
ピロリ菌が感染している期間が長期にわたり、胃粘膜の萎縮が強くなると、ピロリ菌が消えた後でも胃がんの発症リスクは萎縮がない場合よりも高くなります。
胃がんの早期発見と早期治療を実現するために、年1回のペースで胃カメラ検査を受けるようにしましょう。

ピロリ菌の除菌治療は1週間服薬するだけ

ピロリ菌感染によって胃・十二指腸潰瘍が起こるケースが最も多いと言われており、除菌治療によって再発リスクを大きく低減できます。
胃カメラ検査にて胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎と診断され、ピロリ菌感染も判明した際には、2回目までの除菌治療(二次除菌療法まで)が保険診療で受けていただけます。

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